魔界のある出来事
【アミーVSエネロ】
そこに白髪で毛先がカラフルの女性、アミーが仁王立ちしている。周りにはその西領空のリーダーである、バイモンや北、東、南の領域のリーダー達もいる。
「アミーとエネロの対決なんて…勝つの決まってるじゃねェーの?」
バイモンは隣にいた北のリーダーのエギュンに話しをかける。
「元神のアミーの方が力は上だろうなァ…。まぁ、なんとかなるんじゃねェーの?」
「エネロ様も結構強いですよ…。スイッチが入ると……」
エギュンの隣りでガタガタ 震えてる女顔の東のリーダー、ウリクスがそう言う。
すると赤と黒の薔薇が風と一緒にやってくる。その中から黒いドレスを着た美しい女性が現れる。
「ふふっ、すみません。少し仕事が長引いてしまって…」
にっこりと笑うと、ドレスの裾を持ち上げて一礼する。
「おぉー、エネロさんから戦闘に誘われるなんて思ってなかったからワクワクしながら待ってたよー^^なんかリーダー達が見たいって言うから呼んだけど大丈夫だったー?」
アミーはいつも通りヘラヘラ笑いながらエネロに話しをかける。
エネロもいつも通りの笑顔で丁寧に返す。
「はぃ、大丈夫ですよ^^お手柔らかにお願いいたします」
すると、エネロはふわっと一回転をすると弓が現れる。それを合図に両者とも間合いをあける。
「えっ?今のが始める合図なの?w」
「……わかりにくい」
見学者の4人がわいわい話してるうちに…その時。
「お前ら会議をサボって何をしてる?」
突然4人の後ろに風のように現れた黒髪のオールバックの男が真っ黒の笑みを浮かべて立っている。
「すっかり忘れてたよー」
エギュンはそう言うと舌を少しだしぶりっ子みたいな仕草をしながらそう言った。
オールバックの男はエギュンを無視して、南のリーダー、マンモンに話しをかけた。
「…あの2人は何をしてるんだ?」
「……模擬戦闘だ」
冷たい口調でそう言い放ったあと、マンモンは氷で椅子を作り始めた。
「興味あるだろ…?少し見てから会議にしよ……」
「……まぁ、ないと言ったら嘘になるな。少し見学するか」
さっきマンモンが作った氷の椅子に座るオールバックの男。
同じくマンモンが作った氷の椅子にリーダー達も座る。
「もう少し可愛くできないのー?」
「文句あるなら座るな…」
その頃、アミーとエネロは激戦とはいかないが、そこそこの戦闘を繰り広げていた。
「……(何故攻撃をしてこないんだー)」
アミーは炎に包まれた槍で攻撃を繰り返してるが、エネロはひらひらと避けるだけ。
アミーは不思議に思い、少し間合いをあけるため後ろに飛んだ。
「あら、どうかなさいましたか?」
エネロはいつも通りニコッと微笑みながらアミーに問いかける。
武器も構える様子はない。
「いやー、何でもないけどー…武器構えないのー?」
「一応これでも考えて行動してるのですわ」
するとそれを聞いたアミーはもう一本槍を増やす。エネロはそれを見ると少し顔色が変わる。
周りにいるリーダー達もそうだ。誰も見たこともなかったアミーの槍の二刀流だったからだ。
「…あんまり舐めてるとー、エネロさんの可愛い顔焦がしちゃうよー?」
左手に持っていた槍をエネロに向かって勢いよく投げつける。
エネロはふわりと交わした瞬間、アミーは後ろに回り込み、右手で持っていた槍をエネロの身体に突き刺す。
「ッ!?」
一瞬の出来事に驚いたが、危機一髪交わしたが、右肩をかすめる。慌てて間合いをあける。
少しずつアミーの炎が右肩を侵食していく。
「まぁ…びっくりしましたわ。まさかこんなことをしてくるなんて、考えていませんでした」
エネロは右手に弓を持ち替え、左手に弓矢を召喚する。矢は少しピンク掛かっていて、矢の先はハート型をしている。
その矢を燃え盛ってる右肩の中心にぶっ刺すと、青い光に包まれ炎共々に癒える。
「おぉー、流石エネロさんだねー。私の炎までも癒すなんてー」
槍をクルクルと身体の周りで回しながらそう言い終わると、槍先をエネロに向ける。
「今度は癒せられないような火傷を負わしてやるよー」
するとエネロは少しだけ目を開き、クスッと笑った。どこか余裕のような態度で弓を天に向けいつの間にか召喚した黒掛かった矢を放つ。
「Nightmare…をごゆっくり」
エネロがそう言い放った途端、天に向かって打った矢は黒い光とともに消滅をした。
「…何が起こったんだ?」
周りで見てたリーダー達は首を傾げてる。オールバックの男は一言も喋らず黙って見ている。
「フアフューはなんか分かってるのかァ…?」
バイモンは黒髪のオールバックの男、フアフューに話しをかける。
「あいつのやり方はいつもと変わらねェーな…」
「えっ?」
フアフューは満足そうに笑うと、エネロの元へ向かう。
「フアフュー!?今は模擬戦中だよ!!」
エギュンが止めに入ろうとしたが、マンモンの腕で止められる。
マンモンはエギュンの瞳をじっと見つめると、エギュンは納得したのか、黙って席に着く。
「エネロ。神様を騙すなんて最低な奴だなァ」
「あら、フアフュー観ていたの?それならもっと早く話しかけてほしいですわ^^」
いつも通り微笑みながらフアフューの元へやってくるエネロ。
アミーは何故かその場から一歩も動かない。
「内面から焼いていかないと、美味しく焼けないわ。私はレアは好きではありませんから」
エネロはアミーに近づき槍を奪い取り、エギュン達のいる方に投げつける。
「バイモン様。少しの間お預かり願いますわ^^」
「……りょーかい」
バイモンはしぶしぶ槍を片手で受け止め、すぐ近くの地面に刺す。
「さて、目が醒めるまで甘い物でも頂こうかしら。今日のおやつを食べ損ねていたので丁度いいですわ」
「一応、元神なんだからそう保たないと思っとけよ…」
そう言うとフアフューはまたエギュン達の元へ戻っていく。
「えぇ、そんなのはわかってますわ。……ふふっ、アミー様はどんな夢を見てくださるか楽しみですわ!」
さっきとは全く別人のように笑う、エネロ。どこか残酷で、初めて悪魔のような笑みを浮かべたのであった。
To be continued