crazy Love 3
愛三回目「愛の標的」
魔法玉には赤い髪を高く一つに纏めている少女、燃亜。
もう1人は蒼い髪のショートヘアーに頬には黒い星のペイントが入っている少女。
向こうにもこっちの様子が見えているのか、燃亜達は魔法玉に話しをかけている。
「ラナ…!そっちは大丈夫かッ!?」
「なんで帝までいるの…?ちょっと説明してよ!」
すると、ラナは水仙と帝を睨みつける。
水仙はにこにこと会った時と変わらない笑顔を浮かべている。
「燃亜達に何を吹き込んだんですッ!何を、企んでいやがるんですか…!!」
その言葉を聞き、さっきとは違う笑みを浮かべる水仙。
狂ったように顔を歪ませ、何か訴えるように笑う。
「あははははははッ!ははは、だーかーらー、僕はただ君の愛を治そうとしてねェ。僕は独占欲が強くてねェ、君の愛を僕のものにしたいんっすよォ。」
すると、帝がラナの前に立つようにして武器を構える。
スペツナズナイフだ。
「………おい、星姉さんがいる限り、僕は水仙の仲間なんかにならないよ。」
「さて、それはどうっすかねェ。」
帝は水仙を睨みつけながら指を鳴らせば唐突に燃亜と蒼い髪の少女、星が現れる。
突然のことで少し驚愕の表情の2人だったが、周りの状況を見て全ての状況を把握する。
「ラナッ!大丈夫だったか?」
燃亜はラナに近寄り何もされてないことを確認する。
星は帝と何かを話しているようだ。
「水仙…お前は何がしたいんだ?」
燃亜はゆっくりと水仙の方に身体を向ける。
「そいつを知ってやがるんですか?」
「あぁ、星の弟の帝と仲が良くていつも変な愛ばかりを教えてくる…。」
「変な愛って失礼じゃないっすか、燃亜ちゃん。」
水仙は身体の火傷の部分に優しく触れうっとりしたように笑う。
その笑顔は、ラナが見た水仙の笑顔の中で1番脳に恐怖を与えた。
同じく燃亜もそうである。
少し戸惑いを見せている。
「ねぇ、みかっちゃん。みかっちゃんは僕の味方だよねェ?」
ラナ達から目線を外し、星といる帝に目線を送る。
「しまった……!」
帝は水仙と目線を合わせた瞬間、立ちくらみをしてしまう。
「ねぇ、みかっちゃんは僕の味方だよねェ?だってみかっちゃんは僕の愛を信じてくれるっすよねェ。みかっちゃんは騙されてるんっすよォ。」
「くっ…僕は………」
唐突、言葉を発しなくなる帝。
心配をしてる星は帝の肩に手を置こうとする。
しかし、その星の手は帝自身の手で払われる。
「み…帝…?どうかしたの?」
「みかっちゃん。そんな蒼乱星の話しなんて聞かなくていいっすよォ…。みかっちゃんと何も関係がない人なんっすからァ。」
いつもの帝じゃないことに気がつき星は少し距離を取った。
いつもと違う帝のオーラ。
「みかっちゃん。そいつ等の相手をしてくれないっすかァ?僕はラナちゃんですからァ。」
「…いいよ。僕が2人を相手にしてあげるよ。」
帝は星と燃亜の前に立ち、指を鳴らすと水仙とラナとは違った真っ白な空間に引きずりこまれる。
「な…何だこれ…?こんなの初めて見たよ。」
「水仙は帝に何をしたんだ…。」
帝はニィっといつも星に見せない笑顔を見せれば愛用の武器、スペツナズナイフを二本持って構える。
一つはいつものナイフ。もう一つは刃が紫色の毒々しいナイフ。
「見ての通りこっちのナイフは毒が塗ってある。猛毒がね。」
「出来るだけお前と闘うのは避けたいんだが…。」
燃亜がそう言うと星も頷く。
しかし、帝はすごく嫌そうな顔をすると普通のナイフの刃の部分だけを燃亜に向かって飛ばす。
それをかろうじて避ける燃亜。
「何言ってんの。何、僕をまた騙したいの?そんなの許さないから。」
「騙すって…俺がいつお前を騙した?」
風を使い、ナイフの刃を回収する。帝の能力は気体、液体を自由に操れる科学的能力だ。
少しやり方を変えれば恐ろしい結末が考えられる。
酸素を無くすことや、酸素を純酸素にして殺したりすることだってできる。
しかも、帝は完全に能力を使いこなしている。
いつ息の根を止められてもおかしくないこの状況。
星は不適に笑った。
「帝のこと信じてるよ。私はお前の姉なんだから。」
ニコっていつも通りの笑顔を浮かべる星。
しかし、帝の顔からいつもの微笑みが浮かばない。
「はぃ?僕に姉さんなんか居ませんよ。僕はずっと孤独だったんですから…。」
「……記憶を消されたってことなのかな。」
星はそう呟くと燃亜の身体に触れる。
燃亜は少し驚いたが、ニィっと顔を歪ませる。
「成る程なァ…。さすが星、帝のことを分かっていやがるぜ。」
星は腕から剣を半身出して構える。目は夕日のように赤く染まり、首元から龍の痣が見える。
燃亜も機関銃を召喚して構える。
「「目を覚まさせてやるッ!!」」
to by continued…