crazy Love 2
愛二回目「愛の形」
見えない水仙の表情と言葉に圧倒されてしまうラナ。
しかし、ラナも黙ってはいられなかった。
「狂愛と純愛が一緒って…それは間違ってねーですか?」
「間違ってなどいないっすよ。狂愛も純愛も一緒。殺すにしても愛してればなんも問題ない愛の形っすよォ。」
ラナの質問に理不尽のことを言う水仙。
水仙の目には光が入っていなかった。どこか悲しい色が混じっている。
「それとね、君のこと気に入っちゃったんっすよー。だから、僕と愛を語りあわない?」
水仙が指を鳴らすと、さっきまで河川敷だったこの場所が真っ暗闇な空間へと変わる。
水仙とラナだけが光って見える。
「なっ!?貴様何をしたんだーです!」
「僕の好みの愛を語る場所に変えただけっすよ。ラナちゃんは気に入らなかったっすか?」
水仙は魔女の帽子を取り、ポンチョを脱ぎ捨てる。
ポンチョで見えていなかった場所には大きな痛々しい火傷の痕があった。
少し血が滲んでるようにも見えた。
ラナはそんな水仙を見て言葉を失って黙りこんでしまう。
すると一点だけ違う傷痕があることに気づく。
肩の斬り傷だ。
酷い火傷とは違っていたって普通の斬り傷。しかし、何度も斬られた痕が残っている。
「僕の姿が惨めに見えるっすか?やだなァ…、この傷はあの人が僕にくれた“愛”なんっすよォ。」
左腕の火傷を右手で力いっぱい叩く。
その部分から血が滲み出す。
「ッ!?や…やめろーです!そんなことしても…ッ!」
ラナは止めにかかろうとしたが身体が動かなかった。
あまりいきなりのことでラナは動揺するばかり。
「いきなり殺そうとするなんて…水仙らしくないな。」
ラナの後ろから金色に近い緑色の髪をした少年が歩いてくる。
「みかっちゃん…僕の邪魔しないで下さいっすよォ。」
みかっちゃんと呼ばれた緑の髪の少年。指を鳴らすとラナの身体は自由に動くようになる。
「いや、ごめんね。あいつがいきなり殺そうとするから、それは間違ってるかなって思って君の動きを止めさせてもらったよ。あっ、僕は雨龍帝。堕天使だよ。」
帝は不適に笑ってラナを見る。
「貴様…あのサリエル様の…ッ!?」
帝がまた指を鳴らすとラナの声が出なくなる。
どうやっても次の言葉は出なかった。
「…あまりその事に触れないでほしいんだ。僕とはもう関係ないからさ。」
指をもう一度鳴らすと声が普段通り出る。
帝はラナの声を出すために使われる器官の空気を止め、声を発生させなかった。次に言われる言葉に恐れたからだ。
「でもーこれで2対1っすか…。それじゃラナちゃんが可哀想っすね。なので特別に助っ人を頼んでおきましたよー。」
水仙は魔法(水晶)玉をラナの方に投げる。
そこに写っていたのは…。