Crazy Love 1

愛一回目 「出会い」




この話しは自分たちがあの「ザ・ウォッチャーズ」の奴らを捕獲する少し前の話しです。




「………そんな簡単に見つかるわけねーですね。」

白髪に男用の騎士のような服を纏った少女、ラナ=モンドシャインは河川敷のベンチに座っている。
その隣にはふわふわの白い毛の猫が日向ごっこしていた。
ラナは起こさないように優しく猫の頭を撫でていると、後ろから何かの気配を感じ取った。

「この闇に近い系統は…堕天使!?」

すぐさま立ち上がって後ろを見渡すが、どこにも人影は見えない。
立った勢いに驚いた白い猫がベンチから走り去っていく。
すると、猫の去って行った方に魔女の服を着た女の子が立っていた。

「わぁー、可愛っす!毛がふさふさしてて気持ちいいー!」

さっき、ラナの隣りで寝てた白い猫を抱きかかえ微笑む魔女の女。
彼女の背中には真っ白な羽ではなく漆黒に染まった羽が生えていた。

「やぁ、君天使っすか?」

羽をしまい、猫を抱えながらラナの近くまでいく。

「あっ、別に何もしないよー!ちょっと聞きたいことがあるんすっよ!」

「聞きてーこと…?」

すると猫を解放してさっきまでラナが座っていたベンチに座る。
ラナも大人しく座った。

「それで聞きてーことはなんですか?」

「まずは自己紹介からっすよ!僕は水仙、君の思ってる通り堕天使で合ってるよー!」

ーこいつ、自分の心を読んでいやがる…です。

水仙がけっこう顔に出てたんだよーって言うと、ラナは自分の顔を触りだす。

何もわからなかった。

「あははっ、君面白いね!名前は何て言うの?」

「自分の名はラナ=モンドシャイン。アンタの言うとおり天使です。で、用件は何ですか。」

ラナは少し警戒しながら水仙に聞くが、水仙は全然警戒すらしていなかった。

出会ってから絶やさない笑顔。
それが余計に恐怖を与え、ラナの脳に危険と書き込まれる。

「出会ったばっかりでこんなこと聞くのごめんっすね。君の愛とは何かなーって思って。」

「自分の愛…?」

愛って言葉には少しびっくりした。
今さっきまで自分の憧れだった人物のことを考えていたからである。

愛を誰よりも憧れてた彼を。

「自分は…家族愛や恋愛だとおもーです。」

すると水仙は立ち上がりラナの前に立ち、両肩を掴む。
流石に驚きを隠せないラナ。

「無理矢理自分の意思を抑え込まない方がいいっすよ。」

水仙の掴む手に力が入る。少し爪がささり顔を歪めるラナ。

「……自分は、“愛”は知ってる人もいるが、知らない人が多いと思います。」

「やっと本心を言ってくれた。でも、その考えはちょっと嫌だな。」

水仙はニコッと笑いながらラナを掴んでいた手を放す。
クルッと回り背中を向ける。

ラナは掴まれていたところを手で抑えている。
少し血が滲んでいる。

「僕の愛は狂愛、友愛、博愛、隣人愛、自愛、慈愛、兄弟愛、親子愛、情愛、溺愛とか全ての愛だと思うっすよ。」

帽子を深くかぶり顔の表情を隠しラナの方に振り向く。

「全ての“愛”を一緒と考える。狂愛も情愛も変わらない愛の形ってェ…。」

to by continued…